集客戦略を考える前に、経営者が考えるべきこと

こんにちは。鈴木貴之です。
集客の相談を受けると、よくこんな話になります。
「Instagramをもっと頑張った方がいいでしょうか?」
「Googleマップの口コミを増やしたいんです」
「広告を出した方がいいでしょうか?」
もちろん、どれも集客の手段として有効な場合があります。
しかし、私はこうした相談を受けたとき、すぐに具体的な施策を提案することはしません。
なぜなら、その前に考えなければならないことがあるからです。
「どうやって集客するか」の前に、「誰に何を売るか」がある
例えば、あるお店がInstagramで集客できていないとします。
投稿回数を増やす。
写真を改善する。
動画を制作する。
こうした対策を考えることはできます。
しかし、そもそも、そのお店が集めたいお客様はInstagramを見ているのでしょうか。
そのお客様は、何を求めているのでしょうか。
競合するお店ではなく、そのお店を選ぶ理由はあるのでしょうか。
こうしたことが明確になっていなければ、Instagramの運用を改善しても、期待した成果につながらないかもしれません。
だから私は、集客を考えるときに、
「誰に、何を、どのように売るのか」
という上流工程を大切にしています。
SNS、広告、SEO、MEOなどは、その戦略を実現するための手段です。
手段から考え始めると、本来必要のないことに時間やお金を使ってしまう可能性があります。
(でも多くの方は手段から考えてしまいます。でもそれは、経営者側の責任というより、「手段を売っている人が多い」ので、その情報を見て「自分には手段が必要だ」と思いやすい環境になっているのが問題だと私は考えています)
しかし、最近もう一つ重要なことに気づいた
それは、「誰に、何を、どのように売るか」という戦略の、さらに上にあるものです。
例えば、英会話教室の経営者から、
「生徒をもっと増やしたい」
という相談を受けたとします。
そこで市場を調べ、競合を分析し、集客戦略を設計する。
それ自体は間違っていないかもしれません。
しかし、その前に確認したいことがあります。
「なぜ、生徒を増やしたいのですか?」
「何人くらいの教室にしたいのですか?」
「その規模になったとき、ご自身はどんな働き方をしていたいですか?」
もしかすると、その経営者が本当に望んでいるのは、大きな教室をつくることではないかもしれません。
一人ひとりの生徒と長く関わりながら、安定した収入を得ることかもしれません。
あるいは、教室を組織化して、自分は授業から離れたいのかもしれません。
どちらを望むかによって、適切な経営戦略は大きく変わります。
戦略として正しくても、経営者にとって正しいとは限らない
ここが重要です。
例えば、生徒数を倍増させるための戦略があったとします。
市場分析も適切で、集客方法も合理的。
実行すれば、生徒数が増える可能性も高い。
しかし、その結果、経営者が望んでいなかった長時間労働や組織管理の負担が生まれるとしたらどうでしょう。
それは、生徒数を増やす戦略としては正しくても、その経営者が実現したい人生にとっては、適切ではないかもしれません。
つまり、戦略の良し悪しは、何を実現したいかによって変わるのです。
私は、集客コンサルティングでも、ここを見落としてはいけないと思っています。
経営者自身も、本当に望んでいることを理解しているとは限らない
では、最初に「どうなりたいですか?」と質問すれば、それで十分なのでしょうか。
私は、そうは思いません。
なぜなら、経営者自身も、自分が本当に望んでいることを明確に理解していない場合があるからです。
例えば、
「年商1億円を目指したい」
という経営者がいたとします。
なぜ1億円なのでしょうか。
生活を豊かにしたいからでしょうか。
従業員の待遇を改善したいからでしょうか。
地域で認められる会社にしたいからでしょうか。
それとも、何となく成功の象徴だと思っているからでしょうか。
理由によって、必要な戦略は違います。
そして、対話を重ねるうちに、
「本当は売上よりも、安定した利益が欲しい」
「従業員が安心して働ける会社をつくりたい」
「自分がいなくても回る事業にしたい」
と気づくかもしれません。
私は、こうした発見こそ、コンサルティングの重要な役割の一つだと考えています。
最初に出てきた答えを、正解として扱わない
ここで必要になるのが、前提を疑うことです。
「集客が足りない」
本当にそうでしょうか。
客数ではなく、客単価や利益率に問題があるのかもしれません。
「新規顧客を増やしたい」
本当に新規顧客が必要なのでしょうか。
既存顧客との関係を深める方が、目的に合っているかもしれません。
「売上を増やしたい」
なぜ売上を増やしたいのでしょうか。
本当に必要なのは、利益や自由な時間かもしれません。
相談者が最初に口にした課題が、本当に解決すべき課題とは限らない。
だからこそ、私はすぐに解決策を出すのではなく、対話を通じて問題の設定そのものを検証したいのです。
経営者が自分で選べることも大切
もう一つ、私が重要だと考えていることがあります。
それは、経営者自身の主体性です。
コンサルタントが、
「この方法が最も効果的です」
と提案したとしても、経営者自身が納得していなければ、実行につながらないことがあります。
もちろん、納得していても時間や資金の制約で実行できない場合はあります。
しかし、少なくとも、自分がなぜその戦略を選ぶのかを理解していることは重要です。
そのためには、一つの解決策を提示するだけでは不十分です。
ほかにどんな方法があるのか。
それぞれのメリットとデメリットは何か。
どの方法が、自分の目指す経営に合っているのか。
こうしたことを経営者自身が考え、判断できるようにする必要があります。
コンサルタントが用意した選択肢も、疑っていい
そして、ここにはもう一段階あります。
コンサルタントが三つの戦略を提案したとします。
経営者がその中から一つを選ぶ。
それで主体的な判断ができたと言えるでしょうか。
私は、それだけでは十分ではないと思っています。
「そもそも、この三つ以外の方法はないのか?」
「この戦略を選ぶ前提は、本当に正しいのか?」
経営者がそう考えられることも大切です。
コンサルタントの提案は、絶対的な正解ではありません。
経営者との対話によって、提案自体が修正されることもあるはずです。
むしろ、私はそうした対話を歓迎したいと思っています。
私が考える集客コンサルティング
私が目指しているのは、単に集客施策を提案することではありません。
経営者が本当に実現したいことを、対話を通じて明確にする。
その目的に合う事業のあり方を考える。
誰に、どんな価値を、どのように提供するべきかを設計する。
そして、その戦略を実現するために、必要な施策を選び、実行につなげる。
その過程では、最初に設定した目的や戦略を見直すこともあります。
経営者が自分の目指す未来を理解し、その実現に必要な戦略を自分の意思で選べるようにすること。
私は、それが集客コンサルティングの重要な役割だと考えています。
集客は、経営者が実現したい未来に近づくための手段。
だからこそ、集客の方法を考える前に、その未来がどのようなものなのかを、一緒に考えることから始めたいのです。
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