マーケティング

【書評】ビジネスで一番、大切なこと(ヤンミ・ムン):真の差別化とは何か?

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こんにちは。 鈴木貴之(@shiogamabtc)です。

この記事ではハーバード・ビジネススクール教授のヤンミ・ムン氏の「ビジネスで一番、大切なこと 消費者の心を学ぶ授業」の感想を書いていきたいと思います。

『差別化』が大事だという話はよくビジネスの授業、または現場で出てきますが、本当の意味においての差別化が何かということに関しては多くの人が分かっていないのが現状です。

本書では下記のような一文があります。

本来の意味での差別化は珍しくなっている。シリアル、携帯電話の料金プラン、スニーカーなど首位を見渡してみても、ユニークさで傑出したブラン名を挙げるのは難しい。

P.18

ビジネスパーソンであれば誰もが『差別化が大事だ』ということを聞いたことがあり、その為に競合調査をしたり、市場調査をしています。

それなのに、『本来の意味での差別化が珍しくなっている』という状況が起きているのです。

 

競合について知れば知るほど、均一化していくというジレンマ

「敵を知り己を知れば百選危うからず」

これは孫子の最も有名な言葉のひとつでしょうが、優秀な企業であればあるほど、敵を知るために恐ろしいまでの努力をしています。

そしてその結果どうなったのか?

多くの企業では、商品の均一化が起こっていることが指摘されされています。

本書では、SUVを例に挙げています。

Jeepと日産を比較して、20年前(本書発売時の2010年からなので、1990年)は『頑丈さ』と『信頼性』しか比べるところがありませんでした。

『頑丈さ』はJeep、『信頼性』は日産。そこには明確な違いがあったのです。

しかし、それから20年後・・・指標は増えました。

『頑丈さ』『信頼性』『安全性』『燃費』『その他』

これらはお互いからより差別化をしようと思って生まれたものです。

そうしたらどうなったのか?

お互いがお互いを研究し、足りない所を伸ばしていったら、全てがほとんど同じになってしまったのです。

今ではどっちがより頑丈でより信頼性があるとか言えないところまで来てしまっているというのです。

これでは、消費者はどのブランドを選んだらいいのか分かりません。みんな同じに見えるからです。

 

成熟期にある市場では、多々してこういうことが起こります。

あなたは自分がいる市場を見渡してみてください。

そして、顧客から見て重要だと思われる指標を出してみてください。

他社と自社を比較した時、そこに明確な違いはありますか? ほとんどの場合、ないでしょう。

これはお金を掛けて市場調査をしたとしても、それが必ずしも自社の売上・利益として返ってこない理由なのです。

均一化したところから抜け出す方法は?

では、どうしたらそこから抜け出すことができるでしょうか?

このことについての記述は本書のP.34に書かれてあります。

多くの場合、競合調査をして、他社と自社を比較した担当者が考えるのは『弱みを改善すること』です。

しかし、これこそが均一化を招く元凶。

『真の差別化』はどうやったら生まれるのでしょうか?

それはぜひ本書を読んでください。

特に本書の第二部では、実際の企業を紹介しつつ、どうやってそれらの企業が『真の差別化』を達成しているのかを知ることとなります。

 

私が考える『真の差別化』とは

ここでは、本書を読みつつ私が考えたことをお伝えします。

テーマは『真の差別化』。

多くの場合、企業のマーケティング担当者が陥るのは、他社と自社だけを視野に入れてしまうということ。

しかし、実際は顧客がいなければ事業は回りません。

他社と自社だけを比較すると、先ほどお話した指標の改善にだけ目が向きがちになります。

そもそも、その『指標』自体が顧客にとって価値があるかどうかも考えずに・・・。

重要なのは、3者です。

①他社

②自社

③顧客

最も重要なのは顧客です。

なぜなら、顧客がいない会社はどうやっても存続できないからです。

だから、自社が「顧客の欲しいもの」をちゃんと与えられる会社なのか、悩みを解決できる会社なのかをしっかりと理解しないといけません。

それがないのにいくら『差別化』を叫んでも意味がないのです。

他社と違っても、その違いが顧客とつながっていなければ意味がないということです。

「そうか! 顧客が欲しいものを知ることが大事。だから市場調査は必要なんだ!」

とここで思った人は要注意です。なぜなら、市場調査をしても顧客が本音を言っているとは限らないからです。

「顧客の言うことを聞いていったら、他社と全く変わらなくなった(均一化した)」という話も本書で紹介されています。

そういう意味では、マーケティング担当者は顧客の言葉をそのまま信じてはいけないということです。

日産のSUVの顧客に聞いたら、「頑丈さがJeepより劣るのが不満かな」という声が出てくるかもしれません。

そこで頑丈さを高めるように努力をするかもしれません。

でもその反対側、Jeepでは顧客調査をしたら「信頼性が日産より劣るところが不満」という声が出ていて、信頼性を高める努力をしているかもしれません。

その結果どうなるでしょうか?

どちらも差がない、という状態になります。

これが市場調査の罠です。

競合との差を埋めようと市場調査をすると、必ずこういうことが起こってきます。

市場調査自体の重要性を否定しているのではありません。こういう側面があることをきちんと理解した上でそれを行い、そこから得たデータを活用することは大事です。

でも、それは均一化への道で、『真の差別化』への道ではないのです。

大事なのは、顧客の心を知ることなのです。

 

答えを与えてくれない本

最後に、本書がビジネス書として傑出しているところは、これは単なるハウツー本じゃないということ。

「本を読めば正解が書いてある」なんて本じゃないところです。生易しい本ではありません。

本書を通して、著者が「答えは自分で見つけなさい」と言っているように思えます。

そして、それは著者のやさしさだと思うのです・・・。

なぜなら、学校の勉強とは違い、『答えがない』世界がビジネス。そこで本から答えを与えてもらっても、ビジネスの本質的なところに関してはそれが当たっているとは限らないのです(テクニック的な回答はあったとしても)。

そういう本なので、「ビジネス的な思考力」を磨くの為におススメの本です。

ビジネス力・思考力を高めたいという人は、ご一読ください。

 

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